瞬きも、呼吸さえも、忘れたように動きを止め、
きょとんと伶の顔を見上げる、
警戒心を忘れた小動物のような瞳。
そこに、伶に対する恐れや警戒の色は見えない。

黒目がちな瞳をいっぱいに開いて、
ただ、伶だけを見つめる無防備なまなざしは、
澄んだ水だけが持つ透明さで、
ゆがむことなく相手の姿を映している。

【伶】
「……そんなに見つめて、僕の顔に何かついてる?」

【望】
「……!」


声をかけられたことで我に返ったらしく、
少年の瞳が瞬きを繰り返す。
自分が伶に見とれていた事実に気がついたのか、
少年の頬は火がついたように赤面する。



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