【リヒト】
「……我は、ここに 誓言 (せいごん)する」
【リヒト】
「我が意思の力をもって、
汝ら、《深淵》の力を行使せんことを──」
魔術を開始する《 誓言(せいごん)》の 語句 (ワード)を静かに唱えると、
リヒトの精神が直ちに集中状態へと移行する。
そして、魔術士の 精神(こころ)は上位エーテル世界と繋がれ、
一本の細いエーテルラインが結ばれる。
ラインを通じて地上と上位世界とを繋ぐ《扉》を開き、
そこから求めるエレメントの力を引き出し、
行使する力を望む形象または現象として顕現させる──
それらの工程を、熟練の魔術士たちは一瞬にこなして、
複雑で高度な《精霊》召喚の魔術を行う。
リヒトもまた、実践魔術士の名にふさわしく、
魔術熟練者の確かさでもって、
手早くなめらかに術式を組み上げて召喚を行う。
【リヒト】
「はやきもの、いと軽やかなるもの。
我、汝を召喚す。
天の虚 (うつろ)より、来たれ──汝、遠見 (とおみ)のものよ」
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