【唯】
「な! 何を……!?」


無遠慮に動き回る、無骨な指に肌を這われるたびに、
唯は小さく震えて敏感な反応を返してしまう。

エルネイや医師以外の人間に、
容易に触れることを許さない無防備な場所に、
他人の手が無遠慮に触れてくる。

本来ならば身のすくむような状況にも、
先ほどの口づけで与えられた魔力の影響によるものか、
唯の意思を無視して身体は熱を帯び始める

【唯】
「っ……! う、く!」


煽 (あお)られた 熾火 (おきび)がたちまち燃え上がるように、
身体の中心に生じた熱い感覚が、渦巻いて湧き上がる。

指先まで火照る熱さが全身を包んで、
まるで微熱に冒されたように身も心も奇妙に気だるい。

【唯】
「ん、う……っ!」


胸苦しさに呼吸は速まり、せわしくくり返す吐息にも、
いつしか熱が宿り始める。

【唯】
「離、せ……っ、く、あっ……!」


【リヒト】
「へえ? そんな減らず口を叩く余裕がまだあるんだ。
 手加減の必要は無いってことだな」

なめらかに肌をまさぐる動きを続けながら、
この状況を楽しむ視線で、リヒトは唯を見下ろす。

両腕を捕らわれて動きを封じ込まれ、
二人の青年に前後から挟まれる姿勢で拘束されて、
唯はまともな抵抗ひとつ出来ない。

リヒトはきめの細かい首筋に舌を這わせ、
薄い胸元をたどらせた指先で敏感な場所に触れて、
びくりと返される唯に反応を楽しんでいる。

リヒトの手指は、見た目から想像もつかぬ繊細な動きで、
唯の肌をやさしく慰撫して快感を高める。

その巧みな手技に追い上げられて、
次第にせわしく変化する熱い吐息の響きだけが、
静かな室内の空気を震わせる。

【唯】
「んんっ……! はっ……ああ……あっ、あ……!」


快感に追い上げる力を高める青年たちの手のうちで、
ビクンと唯の身体が弾けた。

【唯】
「あっ……あ、あああ……っ!」


両脇から押さえつけられた小柄な唯の肢体が、
身裡を走り抜けた鮮烈な衝撃に、軽く浮き上がる。

快感に潤む眸はぼやけて焦点が合わない。
上気してほのかな桜色に染まるやわらかな肌の上を、
汗のしずくがひとつ、伝い落ちる。

与えられた強烈な感覚に、小刻みに震える身体から、
力ずくに覚えさせられた到達感に力が抜ける。

【唯】
「……っ、は……」


【リヒト】
「……いつも取り澄ました顔しか見せないアンタが、
 そこまで無防備な姿を見せるなんて、な」

【リヒト】
「えらく興奮させられる眺めだな……」

【唯】
「……!」


【リヒト】
「けど、アンタにはこれから、
 もっと色々な顔を見せてもらうことになる」

【リヒト】
「アンタはこの身に、オレと朱里のものを受けるんだ。
 まだまだ、こんなものじゃないぜ?」

【唯】
「な……」




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